話しことばと書きことば。

Coucou !!

今日は、ご質問のあった「フランス語の、話しことばと書きことばのちがい」について、すこし考えてみようかな、と思います。

いただいたご質問の順番がちょっと前後しちゃうと思いますが、答えやすいものからエントリにしていきます。
かならずお答えしますので、ちょっと待っててくださいね♪

さて、いっちばん分かりやすいところで、「話しことばと書きことばのちがい」っていうと・・・

否定形では話しことばにしたときに ne pasne を省きます。

わたしが4年前に2ヵ月ほど通った会話学校でも、初級クラスからこれは徹底して教えられました。

Je suis pas français(e).
ジュスュイパ フランセ(ーズ)。
「わたしはフランス人ではありません。」

ところが、文章を書くときは ne を省いたらダメ。
試験などでは減点の対象になります。

試験では、面接などでも ne を省くことはできません。
ともだちとの「日常会話」ではないことをお忘れなく♪

Je ne suis pas français(e).
ジュヌスュイパ フランセ(ーズ)。
「わたしはフランス人ではありません。」

そのほか、日常会話では je suis まで省略されたりします。

J’suis pas français(e).
シュイパ フランセ(ーズ)。
「わたしはフランス人ではありません。」

発音は「シュイ」になっちゃいます。
チャットなんかではつづりまで chuis / chui になっちゃいます。

ほかにも tuu を省きます。
これは、tu のあとに母音ではじまることばがつづくとき、エリズィヨンするようにアポストロフ でつなぎます。

なんでもかんでもじゃなくって、おもに êtreavoir の前でおこなわれるよう。

T’es pas français(e).
テパ フランセ(ーズ)。
「きみはフランス人じゃない。」

T’as pas de petite monnaie ?
タパドゥプティトゥモネ?
「きみ、小銭もってない?」

ことばや表現単位でも、話しことば、つまり「口語」でしかつかえないもの、書くとき、つまり「文語」でしかつかわれないものがあります。

仏和・和仏辞書を見て《話》とあるのが前者、《文》とあるのが後者ですね。

フランス語では、口語や話しことば、日常表現は

langage parlé / langue parlée「話しことば、口語」
ランガージュ パルレ / ラング パルレ

français parlé「会話のフランス語(ってかんじ?)」
フランセ パルレ

langage courant / langue courante「日常語」
ランガージュ クゥラン / ラング クゥラントゥ

expression familière「くだけた表現」
エクスプレッスィヨン ファミリエール

なんていいます。
話しているときに気になったら聞いてみるといいと思います。

そして、文語は

langue littéraire「書きことば、文語」
ラング リテレール

langue écrite
ラング エクリットゥ

littéraire は「文学の、文芸の」なんて意味。

たとえば、疑問文。

est-ce que という疑問をつくるものは口語的、と文法書や辞書にはありますが、師匠に「文語にはつかわないように」と注意されました。

話しことばではこの est-ce que をつかったり、イントネーションを変える、つまり語尾をあげて発音するだけで疑問文になります。

でも、書きことばでは、きちんと倒置させる必要があります。

これは長くなりそうなので、疑問文に関するエントリでおはなししたほうがいいですね。

ともだちにメールなどで文章を書くときには、それほど気にすることはないと思います。

わたしは、エッセイなどでは、おしゃべりしているような感覚で読んでいただけるよう話しことばで書いていますが、ne を省かないようにしたり、というのには気をつけています。

省くにしろ省かないにしろ、いちど書きはじめたら、どちらかに統一したほうがいいみたい。
日本語でも「ゆれ」がでないように気をつけますね。

そして「倒置法」も書きことばには多くつかわれます。
雑誌などの軽めの文章でも、比較的つかわれます。

これは疑問文ということではなく、文体を整えるためや、文学的にするため、などの理由で、必ずしもしなければならないものではありません。

例をあげるとすれば、いちばんよく見られるのがこんな形でしょうか?

«Merci.», dit-il.
《メルスィ》、ディッティル。
「《ありがとう》と彼はいいました。」

— Tu as raison, répondit Oui-Oui.
— テュアレゾン、レポンディ ウィウィ。
「— そうだね、とウィウィはこたえました。」

Que se passe-t-il ? demanda Oui-Oui, étonné.
クスパスティル?ドゥマンダ ウィウィ、エトネ。
「なにがあったの?とウィウィはおどろいてたずねました。」

さて、最後に大きくちがうのが過去形のあらわし方。

上に出てきた

dit-il
répondit Oui-Oui
demanda Oui-Oui

この dit / répondit / demanda
「直説法単純過去」とよばれる活用の過去。

フランス語の小説・絵本などを読んでるかたはこの形にもう慣れてるかな?

この過去は、「・・・だった」という内容が「今とはつながりのない過去」をあらわすので、物語などを語るのにつかわれます。
だから、手紙や会話などではこの過去形はつかわれません。

ある本で「今やフランスの小学校でも単純過去を教えない」と嘆いた記事を読みましたが、単純過去を知らなかったらまず「読書」というものが不可能だと思うので、心配することもないような気がします・・・。

それとも、「読書」をする子ども自体が減っちゃったの?
そのへんは、実際にフランスに住むお父さんお母さんにぜひとも尋ねてみたいところです。

これもまた、別エントリでやる必要がありますね。
時制の項目でご紹介します。

いっぱいやりかけのものがたまってるので・・・そのうちね。

話しことばと書きことばの見分けかた、ということでしたが、このエントリを読んだだけで見分けるのはムズカシイと思います。

やっぱり、いちばん大切なのは慣れることかな。

雑誌や絵本など、簡単なものから読んでみるとか、文法書を読んでいるときにもそれが「口語的」なのか「文語的」なのか確かめることとか、ことばや表現などを辞書で引いたときに《話》・《文》という但し書きに気をつけてみるとか。

話しことばは、比較的簡単ですね。
フォーラムなどでチャット仲間やメールフレンドを探すのがいちばんおすすめです。

じかに生きたフランス語にふれられるし、自分も書き、表現することによって実践力がつきます。

わたしは、あいさつしかできないころから、メルフレたちにフランス語を教えてもらってました。
だから、「わたしは初心者だから無理・・・」なんて心配することはなんにもありません!!

それでもまだ抵抗があるというなら・・・

NHK フランス語講座のスキットをくり返してみるとか、映画の中の交わされている会話に気をつけてみるとか、そんな日常的なことでだいじょうぶだと思います。

それから、質問をいただいた H さん♪

どんなことでも、学んだことがムダになることなんて絶対にないと思うので心配することないですよー♪

ムダにするかしないかは、学んだひとがそこからなにをどう吸収するか、だと思います。

だから、フランス語が大好きな H さんもほかのみなさんも、その気もちがあれば、入門やニガテな文法の授業からだってかならずなにかしらの発見があると思うし、どんなことも、かならずいつか役に立つ日がくるはず♪

わたしも今になって、「こんなのつかわないと思ってたのに、役に立ったー♪」って思うことだらけだもの。

でもいくらでもやり直しはきくから、無理してぜんぶをつめこむ必要はないと思います。
また知りたくなったときに見直せばいいのです。

楽しいという気もちを大切に、自分のスピードと欲求に合わせて取りいれていくこと、そしてゆっくりでもちょっとずつでも無理なくつづけること、それがいちばんです!!

ということで・・・
思いつくだけの「話しことばと書きことばのちがい」をあげてみたけれど、もっといろいろあると思います。

それはまた、思いついたらね♪

じゃあまたね!
À demain !!