ゆっくり噛むように。

最近思うのが、むやみやたらに勉強してもだめなんだな、ってこと。

前は全然聞き取れなかったラジオが、しばらくしてまた聴いてみたらけっこう分かったり、説明を読んでもちんぷんかんぷんだった文法書が、ある日ふと開いたら、すんなり理解できたり。

振り返ってみると、サイクルがあるんですね。バイオリズムみたいなものかな。

ある程度書けるようになると、ある程度の言い回しを覚えて、ある程度の表現を覚えると、ある程度の文法が身についていて、ある程度文法力がつくと、自然とことばが出るようになって、ある程度話せるようになると、ある程度聞き取れるようになってる、そんな自然な感じ。

子供が成長するときにも、脳が育つ時期、骨が育つ時期、筋肉が育つ時期、性的に育つ時期、こころが育つ時期があるでしょう。それにすごく似ていると思う。

それで、ある程度聞き取れるようになった今、すごく脳が要求しているものは語彙力ですね。せっかく聞き取れてるのに、難しい話題になると、単語の意味が分からない。これはかなり屈辱です。

こういう体が渇望してるときだからこそ、のどが渇いたときのようにどんどん吸収できるのかな、って思うんです。そして、自分の中のことばが増えれば、自然ともっと書けるようになる。

そうやって、人間のことばの成長サイクルは続いていくと思うのです。

聞いた話ですけど、水も食べるように飲むのがいいんだそう。のどが渇いたからって、一気にゴクゴク飲んじゃうと、体が「水だ」って分からないうちに、水が通り過ぎちゃうんですって。

だから、わたしもゆっくり噛むように、ことばを体に入れていこうと思ってます。いろんな栄養素を、しっかり吸収できるように。

大切なのは、自分の欲求に素直になること。本能が求めているものは、それに誠実に従っていれば、だまっていても体に入ってくるものだと思うのです。