可能性と危険性のユーモア。

Coucou !!

しばらくラジオや CD を、聞き流すんじゃなくて、理解しようと集中して聞いてました。

寝るときもずっとつけっぱなし、それも結構な大音量で。
わたし、もともと耳があまりよくないから、そうしないと日本語でもフランス語でも聞き取れないんですよね・・・

この1ヵ月そんなことしてたら、両親やら兄弟やらまわりのすべての人がフランス語ぺらぺらで、おまけに師匠はスペイン語で話してくる(!)からぜんぜん分からなくって、ひとりでものすごーい孤独感を味わう夢を見てしまいました。

さすがにキィィィィィーってなっちゃいそうだったので、ちょっぴりフランス語から遠ざかっていた KiKi です。
Trop, c’est trop… ね。

試験のためにムリヤリ勉強とかって向いてないみたい。
やっぱり不自然だもんね。
娘にまでお説教されちゃいました。

そんなわけで今日はひさびさのフランス語です♪

ちょっとね、最近いろいろ聞いたり読んだりしているうち、être capable de …risquer de … のつかい方について、自分の思いこみに気づいたんです。

たとえば、日本語でもよくつかわれる「リスク」と「キャパブル」っていうことばを聞いて、みなさんどんな意味が思いうかびますか?

わたしは単純に

être capable de + 不定詞 =「・・・できる、・・・の可能性がある」
risquer de + 不定詞 =「・・・する危険性がある」

というふうにしかとらえていませんでした。

つまり、être capable de … はポジティヴなイメージ、risquer de … は逆にネガティヴなイメージって感じで。

そして、そういうつかい分けをするのが正しいんだって、勝手に思いこんでいたのです。

でも、ラジオや CD なんかを聞いているとね、実際のつかわれ方はむしろ反対のほうが耳についちゃって。

たとえば

「そんなふうにベッドの中にいるんじゃない。でないとまた眠り込んじゃうぞ!」

ていうときは

Ne reste pas dans le lit comme ça, sinon tu risques de t’endormir !!
ヌレストゥパダンルリコムサ、スィノンテュリスクドゥタンドルミール!

っていうよりも、

Ne reste pas dans le lit comme ça, sinon tu es capable de t’endormir !!
ヌレストゥパダンルリコムサ、スィノンテュエキャパーブルドゥタンドルミール!

っていうのを耳にしたんです。

最初は、contexte から「皮肉でいってるんだな」ってひとりでほくそ笑んでたのだけど・・・。

「眠り込んじゃう」っていう日本語から連想するのは、ふつう『リスク』のほうなんじゃないかな?
でもね、ほかのいろいろな会話やラジオを聞きながら、こういった『リスク』的なつかい方におおく出会ったのです。

そして「ボク、きみに恋しちゃうかも。」なんてときに

Je risque de tomber amoureux de toi.
ジュリスクドゥトンベアムルードゥトワ!

なんていいます。
恋におちちゃいけないようなシチュエーションでなくても。

でもね。

これをフランス語で risque de をつかっていわれちゃうと、なんだか遠まわしなような、燃え上がっちゃいそうな、そんな感情をいだきませんか?

このふたつの表現、辞書で引いたことはなかったんだけど、最近あまりにも耳にするので、それぞれの単語を仏和辞典でやっとたしかめてみました。

capable

1.・・・できる;・・・し得る、しかねない
[類語]pouvoir

2.有能な、敏腕の

risquer

1.・・・を危険にさらす;〈金など〉を賭ける
2.・・・の危険を冒す;・・・のおそれがある
risquer de + 不定詞
「・・・するおそれがある」

3.《risquer de + 不定詞
・・・するかもしれない
(★危険性とは関係なく、可能性についてもちいる

4.思い切って・・・する[いう]

これだけ見ると、これらのことばにたいするポジティヴとかネガティヴなイメージっていうのは、勝手な思いこみだったように見えますが・・・。

最初は、これもフランス語のユーモアかな、ちょっとした表現にもひねりが利いててやっぱりステキだわ♪
なんて脳天気に考えてたんだけど。

それでも日本語の辞書だけじゃ信用ならないから、もちろん師匠に確認してみました。
やっぱり、感覚的につかっているひとに聞いてみないとね。

もともとのことばの意味はふたつとも、わたしが日本語でとらえているようなイメージでいいのだそう。

capable っていえばポジティヴだから

Tu es capable de t’endormir !!

っていうのはちょっぴり皮肉がかった、またはユーモアを利かせたりからかったりする表現なんだって。

そして、risquer de のほうはやっぱりほとんどの場合は「・・・してしまうかもしれない」的なニュアンスでつかわれるけど、ひっくり返してつかわれることもたまにあるんだって。

たとえば、辞書の中で見つけた例文。

Cette histoire risque de l’intéresser.
セッティストワールリスクドゥランテレッセ。
「この話は彼(女)の興味をひくかもしれない。」

この場合は、師匠いわく「危険」というよりはむしろ「可能性」、もっといえば「チャンス」としてつかわれているんだって。

こういう第2の意味みたいなのを

connotation コノタスィヨン
「暗示的意味、含意」(ちょっと隠された意味)

というそうです。

sens propre サンスプロプル「本来の意味」に対しての sens figuré サンスフィギュレ「比喩的な意味」や、euphémisme ウフェミスム「婉曲表現・遠回しな表現」とはまたちがうのだそうです。

これはつかえそうだわ♪♪♪