「川は濁らずには大きくならない。」
Re-coucou !!
人によるとらえ方のちがいといえば・・・。
ことわざや名言なんかもそうなんじゃないかな。
有名なものに
アンポッスィブルネパフランセ。
「不可能はフランス語にあらず。」
というのがあります。
この訳は、『フランスことわざ名言辞典』から。
Français =「フランス語」ととらえられています。
フランス人ティエリ・マレ教授と篠沢教授の共著、「フランス成句の宝庫」を見ると、また別の解釈なのです。
このことばが発せられた背景と、この français という複数の意味をもつことばのいろいろな解釈例が。
これをかみ砕いたものは
イタリア本土に出陣するに当たって、着るものも食べるものもない兵士たちに向かって「諸君はそれを欲する、諸君はそれができる!」という励ましの呼びかけだったのではないか、と。
「意志にとって不可能なことはない!」と。
つまり、この解釈での français とは「フランス人らしい思考・行動」をあらわしているのですね。
このほうが、信憑性が高いと思います。
でも、わたしたちが教わったころは
というとっても意訳な日本語。
しかも、ナポレオン自身のことになってます。
翻訳とはむずかしく、危ないものだとつくづく思います。
さあ、またまた前置きが長くなりましたが、今日はそんな、とらえ方のちがいがあったことわざを。
(ごめんなさい!明日上げようと思って書いた記事、手ちがいで今日アップしちゃいました・・・ぐすん。)
「川は濁らずに大きくなることはない。」
(= 何か汚いことをせずには、金が急速に貯まることはない)
白水社『フランスことわざ名言辞典』
日本のことわざでは「金持ちと灰吹きはたまるほど汚い。」だそう。
師匠はこのことわざを知らなかったそうで、読んだとたんに(つまりわたしの説明を聞かずに)「似たものがあるよ。」といって教えてくれたのがこちら。
「たまごを割らずにオムレツはつくれない。」
これはね、「汚いことをせずに」とはまたちょっとちがって、「ある程度の損失をせずにものごとは成し遂げられない」だそう。
「犠牲を払わずにものごとは作り出せない」とも読めますね。
最初の「川は濁らずに大きくなることはない」だって、「不可能はフランス語にあらず。」という訳を紹介していた『フランスことわざ名言辞典』(1995年発行)のものだから、どのとらえ方が正しいかはいまのところ分かりません。
表現が生まれた場面や経緯を知らずに解釈するのは危険ですね。
ますます、歴史や文化をひととおり学んで、ことばや表現の生まれた時代背景を知りたいと思うのでした。
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今日のフランス語単語・重要表現
* rivière [n.f.] : 川
* grossit : grossir「」三・単・直・現
* sans : ・・・(すること)なしに
* être : ・・・である
* trouble [adj.] :〈液体が〉濁った、混濁した
* on : ひとは、我々は etc.
* fait : faire「つくる」三・単・直・現
* d’ = de : ゼロ冠詞
* omelette [n.f.] : オムレツ
* casser : ・・・を割る、こわす
* œuf(s) [n.m.] : たまご
単数 œuf では「ウフ」, 複数 œufs では「ウー」と発音