Choucroute ・・・ シュークルート。

せっかくキャベツのはなしがでてきたから、こないだ本で読んだ「驚愕の事実!?」をみなさんにも。

Choucroute「シュークルート」ってお料理、ご存じですか?
ドイツ語で Sauerkraut「ザウアークラウト」といったほうが、まだフランスに行ったことのないみなさんにはおなじみでしょうか。

Choucroute ・・・ シュークルート #1

La Choucroute Garnie à l'Alsacienne
「アルザス風シュークルート」
ソーセージにハム、ジャガイモなどがてんこ盛りですが
これは Garni(e), つまり「〜添え」の部分で Choucroute はしたじきになっている細かいキャベツです

フランスでは、ふつう冬に食べるお料理だそうで、師匠に、今日はこれについて書いたといったら「季節はずれだなぁ・・・」といわれてしまいました。
そんな choucroute のちょっとオモシロイ話。

知らないかたのためにすこし説明を。
これは、千切りにしたキャベツを香辛料といっしょに塩漬けし、1週間程度おいて発酵させた、ちょっと酸っぱいもの。

Choucroute ・・・ シュークルート #2

La Choucroute Picarde
「ピカルディ地方のシュークルート」
そう、このキャベツの塩漬けこそがシュークルート!日本の漬け物のように、保存食だそうです。

Choucroute という名前をみてみると、chou「キャベツ」ってことばがはいってますね。ここが落とし穴。

なんとびっくり、この chou は「キャベツ」じゃなかった!
実験として、師匠(もちろんフランス人)にもイジワルに質問してみました。

キキ「シュークルートの『シュー』ってなんのこと?」
師匠「キャベツだろ」

・・・・・・・・・・(ニヤリ)

このお料理の出身地であるドイツのことばでは Sauerkraut「ザウアークラウト」という名前だと、はじめにご紹介したのが手がかりです。

この Sauerkraut ということば、「すっぱいキャベツ」という意味。

話せないわたしがいうのもなんですが、ドイツ語って、英語に近い単語が、フランス語にくらべて多いと思うんです。
英語が濁音で発音される感じじゃないですか?(これはいいすぎだけど、そんなイメージ)
見た目でも、なんとなくドイツ語のつづりと音の関係と英語を知ってれば、意味はつかめます。

ここから、わたしの推測(語源について)も交えて。

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Sauer とは英語の sour, つまり「すっぱい」を意味します。

のこった kraut のほうが「キャベツ」ですね。
こちらは、英語では一般的に cabbage です。
うーん、なっとくいかない。
Kraut と結びつかない。

ここで和英辞典の「キャベツ」の項の追記部分に、「cole ともいう」というのを発見。
だけど、これもまだ、kraut の親戚だという説得力がない。

こんどは、英和辞典で cole を調べてみました。
これが BINGO !!

この cole, 「アブラナ科アブラナ属の葉菜の総称」(西洋アブラナ・キャベツなど)だそう。
Colewort ともいう」という但し書きも見つかりました♪

Colewortkraut ならありえる!

と、苦手な英語にまで首を突っ込んでしまいました・・・

Choucroute ・・・ シュークルート #3

La Choucroute Alsacienne
「アルザス地方のシュークルート」
この写真ははシドニーの Alliance Française のサイトからいただきました
タイトルが文法的にまちがってましたよ・・・

じゃあ、なぜ choucroute
本の文章をそのままコピーするとおこられちゃうので、わたしのことばにおきかえて・・・

ドイツ語がオリジナルのこの Sauerkraut が、ドイツ語と同系のアルザス語で surkrut になりました。
それがさらに、フランス語にはいってきたときに choucroute という今の形になったんだって。

もちろん、フランス人が chou の部分を「キャベツ」だととらえただろうってことは、想像しやすいですね。

こんなふうに、新しいことばがはいってきたときや古いことばの由来を調べているときなんかに、自分たちの既知の文化や習慣などに当てはめたりして、推測やとりちがえで誤った意味でとらえてしまうような現象を「民間語源」étymologie populaire というそうです。

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はーい、またおしゃべりがすぎました♪
Revenons à nos moutons !!

この Sauerkraut という単語を分解して、英語 - ドイツ語 - アルザス語 - フランス語 と見直してみると・・・

sour = sauer = sur = chou「すっぱい」
colewort = kraut = krut = croute「キャベツ」

あらまー、本物の「キャベツ」は croute のほうでした!!

なんていっても、この本を読むまではわたしだって choucroutechou は「キャベツ」である、と信じて疑わなかったうちのひとりだったのです。

まだつけたしちゃうと、英語でもドイツ語の Sauerkraut をそのままの形でつかい、発音が「サワークラウト」になります。だから、sour-colewort なんていいません!!

しつこくしらべてみたら、sour-crout なんてのが出てきました。
なんだかちゃんぽんなこの複合語、同じく「サワークラウト」と発音する視覚方言なんだって。