Pousse-toi ! ・・・ どいて!

Coucou !
Vous allez bien ?

うちのアパルトマンはとにかく狭いのですが、COVID-19 以降、師匠がテレワークになってからは、ひとり当たりの面積がますます小さくなっちゃいました。

キッチンや廊下など、家の中ですれちがうこともできない。
だから自然と、使用頻度の高いことばも決まってきます。

Pousse-toi !

Dégage !

Fais de la place !

Impératif(命令形)な上にびっくりマークとかならんじゃって、ちょっとコワイ。
「どいて」と言わなきゃ言わないで、「キキ・ブルドーザー」「キキ・ドスファンゴ」なんていじわる言われるし。

では瞬間的に「どいて!」「あけて!」と言えるよう、そして瞬間的に理解できるよう、さらにはケンカにならずに不作法にならずに ZEN で言えるよう、いくつかの表現をみていきましょ。

つめる、どく

Se pousser ス プゥセ

(場所をあけるために)[席などを]つめる、どく

Pousser はざっくり言えば、「押す」なんていう意味あい。そこからの、Se pousser を想像してみてね。

Pousse-toi !
「どいて!」

Poussez-vous !
「どいてください!」
「(きみたち)どいて!」

あまり馴染みのない人には、Vouvoyer でもこれを言うのはあまりお行儀よくないんだって。最後にご紹介する “Écartez-vous !” を使うのがいいみたい。

ただ、礼儀正しくはないんだけど、でも「どいて!」と言うような場面ではのんきに丁寧語を使う気はないだろうから、まぁ NG ではないとのこと。

場所などをあける

今度は、言い方をまちがえると100パーセントけんかになる、これ。

Dégager デガジェ

[場所、通路を]あける、片づける

Dégage !
「どいて!」

Dégagez !
「どいてください!」
「(きみたち)どいて!」

解放する、取り出す、あらわにする、なんていう意味もあるこのことば。命令形で言うと、いじわるなことばになります。「失せろ!」「消えろ!」って意味にもなっちゃうから、気をつけて!

これももちろん、“Écartez-vous !” のほうがいいのだそう。

余談ですが、たれ込めていた雲がどっかへ行って青空が顔を出した、なんてときにも se dégager のかたちで使います。その場合の主語は「空」です。イメージしやすいですね。

場所をつくる

Faire + ○○ + place

「場所」を意味する place と、「つくる」を意味する faire とを使う表現にはいくつかのパターンがあり、コンテクスト(状況や文脈)によって使い分けます。

ひとつ目は、ベンチやメトロなどで使うこれ。

Fais-moi une place.
「つめて。」「あけて。」

Faites-moi une place.
「つめてください。」「あけてください。」
「(きみたち)つめて。」「(きみたち)あけて。」

これは人数分または十分にある場所を、たとえば3人用の席を誰かがふたりで陣取ってたりする場合なんかに言います。

つぎは、人間だけでなく、ものを対象にしても使えるこちら。

Fais de la place !
「場所をつくって!」

Faites de la place !
「場所をつくってください!」
「(きみたち)場所をつくって!」

テーブルが、オモチャとかで占領されてて、晩ごはんのテーブルセッティングができない!なんて場合にも、「(これらのモノをどかして)場所をつくって!」なんて言えるんだって。

最後は、つかう機会はあまりないであろう、これ。

Faites place !
「場所(通り道)をあけてください!」

たとえば有名人が歩いてくる・・・「さあ、道をあけて!」なんて場合、だそう。
だから、二人称単数形では使わないんだって。

通す

Laisser passer qn/qc レッセパッセ ・・・

・・・を通す(通させる)

これは、「(通路をあけて)通してください」という表現です。ご存知のかたも多いかな。

laisse-moi passer !
「通して!」

Laissez-moi passer !
「通してください!」
「(きみたち)通して!」

これはメトロやバスで人混みの中を降りたいときとか、とにかく人がワチャワチャいて、でも前に進まなきゃ!っていうときに使えますね。

ちなみに、“Laissez passer !” っていっちゃうと、「緊急事態だから(場所をあけて)通して!」だとか、“Faites place !” に近いらしいです。あまり使うチャンスはなさそうね。 そして同様に、二人称単数形では使いません。

進む(うしろに場所をつくる)

Avancer アヴぁんセ

前進する、前へ出る、進む

これも、混雑した場所などで。前につめてほしい場合に有効です。

バスで運転手さんが叫んでたりします。乗客みんなが乗れるように場所をあけるのです。

Avance !
「進んで!」

Avancez !
「進んでください!」
「(きみたち)進んで!」

あとは、列の前の人がおしゃべりに夢中で、つっかえて前に進めないよーなんてときにも。

さがる(前に場所をつくる)

こちらはさっきのとは逆。
前に場所が欲しいときの表現です。

Reculer るキュレ

前進する、前へ出る、進む

Recule !
「さがって!」

Reculez !
「さがってください!」
「(きみたち)さがって!」

でもこれ、正しいし言えるんだけど、さっと使う場面が思い浮かばないらしい。

「さがって!」と言う場合でも、つぎに見る“Écarte-toi ! / Écartez-vous !”「離れて!」「遠ざかって!」のほうを使うんだって。

離れる、遠ざかる

さて最後は、いちばんお行儀がよく、使いやすいことばでしめましょう。

S’écarter de qn/qc  セカるテ ドゥ ・・・

・・・から離れる、遠ざかる

Écarte-toi !
「離れて!」「どいて!」

Écartez-vous !
「離れてください!」「どいてください!」
「(きみたち)離れて!」 「(きみたち)どいて!」

これは「離れて」「どいて」「遠ざかってて」「あけて」「さがって」などなど、場所を作ってほしいときや離れてほしいときに万能なことば。礼儀正しくも失礼でもないそうです。

まぁ、日本語を見てみても礼儀正しくはないですよね。知らない人には言えないもんね。

今日見てきた表現、前半のふたつは、打ち解けた間柄じゃなければちょっと失礼な感じです。(それでも書いたのは、どこかで見たり聞いたりしたときに理解できるといいな、と思ったから)

なので “s’il vous plaît” をつけたほうが、すこしでも失礼な感じが消えるのか?・・・と師匠に質問してみました。

「んー、まぁそうしたければ。でもどっちにしろ impératif(命令形)なんだから、(印象が)impératif なのは変わりないよ。」

そうですよね・・・。

わが家では、冗談で “Pousse-toi !” “Dégage !” なんて言い合うことも多いのだけど。
お行儀悪いね。

ではまたね。
À bientôt !