「貝」は「エロい」の?

Re-coucou !!

髪を切って「頭が軽くなったから肩コリが治るぅ〜〜♪♪♪」
と美容師さんとはしゃいでいたら、逆に首が回らなくなってしまった KiKi です。

別の意味でも首が回りません♪

さてさて・・・
こんなタイトルですが、いたって真面目なおはなしです。

さっきのエピソードから、わたしがなにを想像したと思います?
今回はますますリアルでグロイ話からはじまります。

気分を害さないと確信のあるあなただけ、つづきをどうぞ♪

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そういえば・・・

日本でも、女性性器を「貝」coquillage コキヤージュ に見立てることってあるでしょ?
フランスでは「ムール貝」moule ムール がそれにあたるそう。

わたしも学生のころバイトしていた小料理屋で、板長さんに「ムール貝」とか「桜貝」とか呼ばれたので、意味が分からず聞いてみたことがあります。

もちろん、意味を知ったあと、そんなセクハラに面食らってすぐにそこは辞めちゃったけど!!

そんな話をしていて、師匠に

「(ふだんは『貝』なんていわないから)そう呼ぶのは相当『エロい』場面でだろうけどね・・・」

dans des situations très coquines
ダンデスィテュアスィヨン トレコキーヌ

と口にしようと思った瞬間、さっきいった coquillage とこの coquin(e) が、わたしの頭の中で、ジクソーパズルの探していたピースのようにピタリとはまってしまったんですね。

いつの時代にもどこの国でも女性性器にたとえられる「貝」。
それと「エロい」ってまさか・・・おなじ語源なんじゃないの?

さすがに、突拍子もないと師匠は笑いころげました。
「キミは語源まで発明しちゃったね!」と。

すっごく気になったのでさっそく、Larousse DICTIONNAIRE D’ÉTYMOLOGIE で調べてみました。

すると、なぁーんと!!

coquillagecoquin(e)coquille から派生したことばじゃないですか!!

coquille コキーユ は現在「貝殻」なんていう意味をもつことば。
冗談半分でいったわたしもこれにはビックリ。

それにしても・・・
そこにたどりつくのにどんな経緯があったのか、気になるーッ!

でもね、よく読んでみるとこの coquin ということば、かつての意味は「巡礼者、偽の巡礼者」とあります。
そして「15世紀のディジョンの Coquillard がモデル」とも。

coquin には「いかがわしい、みだらな、わいせつな」のほかに「いたずら好き、いたずらな」という意味があります。

というよりは、ふつうの会話なら、あとの意味でつかわれることがおおいのかな?
まえにも「今日のひとこと」でご紹介したことがあります。

辞書を見ると、古語では「ごろつき、ならず者、よた者」。

うーん、ますます気になる!
こんどは google で検索。

おっと、気になる記事を発見!

Le mot coquin vient du moyen-âge et voulait dire malhonnête ;
en effet, certains petits malins pour se faire loger et nourrir gratuitement chez des gens qui se sentaient obligés d’être des hôtes, se faisaient passer pour des pèlerins sur le chemin de St Jacques de Compostelle ; pour cela, ils portaient la coquille de St Jacques, signe de reconnaissance des pèlerins, d’où le mot coquin qui provient de “coquille” !

簡単に訳せば

Coquin ということばは、中世からきていて「不正直な、不誠実な」という意味をもっていた;

ある狡賢いひとたちが宿を確保するため、そしてタダ飯を食うために、ひとびとに「宿を貸さなければ」と思わせるよう、自分が聖地サン=ジャック=コンポステルからの巡礼者であると偽った。

そのために、彼らは「巡礼者」であるという目印として、このことば coquin の由来となる「ホタテ貝」la coquille Saint-Jacques をもち歩いていたのだ。

という感じでしょうか?

うーん、でも「15世紀のディジョンの Coquillard」が出てこない。
掲示板だしなぁ、信憑性はどうなのかなぁ・・・?

と疑問に思ったので、Wikipedia でも調べてみることに。

こちらには coquin の項目はなかったので、coquillard コキヤール で調べてみました。

Les coquillards sont à l’origine de faux pèlerins de Compostelle qui vendaient des coquilles Saint-Jacques prétendument rapportées du pèlerinage.

Dans l’argot du XVe siècle, ce terme désigna d’abord les escrocs et les faussaires avant d’être adopté par une bande de brigands organisés qui sévissait en Bourgogne du milieu des années 1440 à 1455, date du procès de quinze des leurs à Dijon. C’est par ce procès et notamment par l’instruction qui compile le jargon Coquillard que l’on connaît cette bande et son mode opératoire.

Il semble avéré, notamment par les écrits postérieurs à cette date de François Villon qui semble les avoir fréquentés, que la bande a subsisté et essaimé après ce procès pour former des pègres locales. Le terme «coquillard» se généralisa à toutes ces bandes locales.

Enfin, ce terme désigna de nouveau au XVIIe siècle de faux pèlerins qui abusaient de l’hospitalité des monastères et se livraient parfois au brigandage.

Ces quatre acceptions du terme, somme toute assez différentes, ont eu tendance à créer par agglomération une image d’Épinal du coquillard qui est souvent décrit comme étant un faux pèlerin brigand du XVe siècle, alors que la réalité est plus complexe, les coquillards de Villon n’ayant jamais été de faux pèlerins, par exemple…

わたしの稚拙な訳(意訳な部分も)ですが、どうぞ。

Les coquillards はそもそも、巡礼の地からもち帰ったと自称する coquilles St.Jacques(ホタテ)貝を売っていた「コンポステルの偽の巡礼者」だった。

15世紀のアルゴ(スラング)では、このことばはまず、絵画や芸術品の贋作者・貨幣などの偽造者やペテン師を指した。ブルゴーニュで猛威をふるっていたある盗賊組織の名前として取りいれられるまでは。

その盗賊団 Coquillards のうちの14人が1440年から1455年の間、ディジョンで受けた訴訟から、とりわけ、coquillard たちの隠語を寄せ集めた書類などから、ひとびとがこの一団や彼らの手口などを知ることになる。

とくに、彼らと付き合いがあったと思われるフランソワ・ヴィヨン(詩人)が後日「その裁判以降この Coquillard たちが生きのび、地方で盗賊団を形成するためにあちこちに散らばった」と書いたことによって、それは明白になったようだ。この coquillard ということばは、そんなすべての地方群たちを呼ぶまでに広まった。

結局このことば、17世紀にはふたたび、修道院のもてなしや宿泊を悪用し、強盗や追いはぎに従事する「偽の巡礼者」を指していた。

これら4つの定義は、つまりはぜんぜん異なるのだが、しばしば15世紀の(ディジョンの)Coquillard のイメージを単純にモンタージュして創られた「巡礼者を見せかけた盗賊」のように描かれている傾向がある。実際にはもっと複雑で、たとえばヴィヨンの描いた盗賊たち Coquillard は決して「偽の巡礼者」ではなかったのに・・・

というわけで、大変長くなりましたが、わたしが想像していた「貝」→「女性性器」→「卑猥な」説はまったくの 妄想 だったのでした。

・・・残念。

でもまあ・・・意外なところから、ふたつのことばの結びつきが分かったのでよしとしましょう。

ムダな知識がまたひとつふえました♪
めでたしめでたし。

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ね、居眠りしちゃいそうなほどマジメな話だったでしょ?

タイトルを見て、エッチなサイトと勘違いして飛んできちゃった殿方、ご愁傷さま!

でも・・・すぐ結びつけちゃうところをみると、coquine なのはわたしじゃない?

ううん、coquin ということばが coquin なんだよ、きっと。

クリスマス特集のあいまに、こんなにロマンティックな戯言にお付き合いくださって今日もありがとう、みなさん♪

じゃ、また明日!
À demain !!