Écrabouiller ・・・ ぺしゃんこにする。

Coucou !

子どもと関わっていると、大人同士ではあまり使わないさまざまなことばや表現が耳に飛び込んできますね。

例えばよく聞くのがこれ。
まずは、一般的に使われることばから。

Écraser
エクらゼ
「押しつぶす、粉々にする、ぺちゃんこにする」

さて、この動詞に子どもがよろこぶ魔法をかけると・・・

Écrabouiller
エクらブィエ
「押しつぶす、砕く、ぺちゃんこにする、ぐちゃぐちゃにする」

こんな感じになります。

真面目ことば(?)の語尾をちょちょいっといじれば、意味も音も、動作も効果もなんとなく軽快にかわいらしくした話しことばのできあがり。

Je vais t’écrabouiller !!!
ジュヴェテクらブィエ!!!
「ブッつぶしちゃうぞ!」「粉々にしてやる!」
(怪獣とロボットを対戦させている場面などで)

あれれ、かわいくないですね。。。むしろ物騒です。

でもガキンチョ本人はふざけて(またはイキがって)こう言ってると思うので、意訳してみました。まぁ「ぺっちゃんこにしてやるぅ!」くらいの感じでしょうか。

「めちゃくちゃにするぞー!」っていう意味はもちろんですが、écrabouiller っていう響きも、子どもたちにはきっとおもしろいんでしょうね。繰り返し言い放っては、笑いころげる子を何人か知ってるもの。

今度は「打つ、ぶつ、たたく」ということば。

Taper
タペ
「たたく、打つ、ぶつ、殴る」

「キーボードをたたく」のもこの動詞 taper ですが、それを軽めの表現でいうと・・・

Tapoter
タポテ
「軽く何度もたたく、ぽんぽんする」

Arrête de tapoter sur la table, ça m’énerve !
アれッドゥタポテ スュるラターブル,サメネるヴ!
「テーブルをとんとんするのやめてよ、イラッとする!」

大きい人が小さい人の頭や肩・背中を愛情をこめて「とんとんとん」「ぽんぽん」としてる、あれは tapoter なのね。

それから「噛む」ということば。

Mordre
モるドる
「噛む」

Mordiller
モるディイエ
「軽く噛む、軽くもぐもぐする、軽くつつく、ついばむ」

Mon petit chien adore jouer en mordillant mes chaussons.
モンプティシャンナドーるジュエ あんモるディやんメショッソン.
「ぼくの仔犬は、ぼくのルームシューズをもぐもぐ噛んであそぶのが大好きだ。」

Mordre のほうは「(1回)ガブリと噛む」って感じ。
Mordiller のほうは「はむはむする」って感じ?・・・甘噛みかな??

そしてこれからの季節、使う機会が多くなるかも。

Tousser
トゥセ
「咳・咳払いをする」

Toussoter
トゥソテ
「軽く何度も咳をする、軽く咳払いをする」

Il arrête pas de toussoter.
イラれトゥパ ドゥ トゥソテ.
「彼は、休まずケホケホしている。」

語尾にちょっとかわいらしいのをつけると、「軽く」「繰り返し」「何度も」っていう意味が加わるのね。

でも、語尾が今日あげた動詞たちと似てるからって、どれもがおなじ括りの単語とは限らないので気をつけて!みなさんで確認してくださいね。

つぎのこちらの音が、わたしはかなり好き。
(今回のかわいらしいことばたちはどれも好きですが!)

辛いものや染みるもの、肌ざわりなどで「ひりひり、ぴりぴり、ちくちくといった刺激を与える」という意味の動詞です。

Piquer
ピケ
「刺す、突く」
「刺すような感じを与える、ちくちく・ひりひり・ぴりっとさせる」

Picoter
ピコテ
「つつく、ちくちくさせる、ひりひりさせる」

J’aime pas ce pull, il me picote.
ジェームパ スピュル,イルムピコトゥ.
「このセーター嫌い。チクチクするんだもん。」

Piquer は「刺す」といってもナイフで刺すような恐ろしく乱暴な感じではなく、トゲが刺さるとか、針やピックや串を刺すとか、そういったイメージが近いかもしれません。

ちなみに、服飾や編みものなんかの「ピコット」もここからきてるのね。

最後に、かゆいとか、これまたチクチクするとか、ちょっと不快な刺激についてね。

Gratter
グらッテ
「引っかく、かき削る、こする、掻く、かゆがらせる」

Gratouiller
グらトゥイエ
「軽く引っかく、軽くこそぐ、むずがゆくさせる、ちくちくさせる」

Ça vous gratouille ou ça vous chatouille ?
サヴ グらトゥイユ ウ サヴ シャトゥイユ?
「むずがゆいんですか、それとも、こそばゆいんですか?」

“ça vous gratouille ou ça vous chatouille ?”

これは、とある戯曲をもとにした1951年のコメディ映画 “Knock” のワンシーン。
わたしがこの記事を書いているのを知り、師匠が教えてくれました。

この一節、ヤブ医者・・・ではなくニセ医者が

「かゆみのようなものがある。」
「胃がこそばゆい、いやぁむしろむずがゆい。」

と訴える村人にこう問いかける場面なのですが、そのやりとりが面白い。

楽しいのは、gratouiller と chatouiller という、とても似通ったふたつのことば、しかも医学用語でないことばを「気をつけて!混同しないようにしよう。」と真剣に言い聞かせるところ。

ニセ医者 Knock, なかなかいいですね。それを真面目にとらえる、素朴なムッシューもいい。

下にあるカラーのほうは、2017年に、オマール・シー主演でふたたび(これで4度目)映画化された “Knock”.Ça vous gratouille ou ça vous chatouille ? のシーンも健在。

日本では上映されてないのかな?YouTube で探してみたけど、ありませんでした。まだ観ていないので(というか、さっきまで存在すら知らなかった!)いつか観よう。

Le vocabulaire enfantin(幼児語)と一概には言えないし、le langage familier(くだけたことば)というわけでもない。日本にはあまりない類の派生だから、興味深いですね。

思いついたものをいくつかならべましたが、調べたらもっとあるかもね。

それではまたね。
À bientôt !