BON/BONNE と BIEN

Coucou !!

今日は、いただいたコメントの中から、ちょっとこれはここで取り上げたほうがいいかな?と思うものがあったので、それをもとにお話を。

ちょっと前にアップしたエントリ、「パリの STUDIO」の仏文に、こんな一節が出てきます。

Mais comme il se situe av. Victor Hugo, d’où il ne faut que 5 minutes en métro pour aller à l’Arc de Triomphe, alors les Français ne comprennent pas pourquoi c’est si bon marché, alors que la location est tellement bien, et ça leur semble bizarre. Je suis anxieuse …

さて、この太字の bien の部分、bonne のほうが適当なのでは?というご意見をいただきました。
みなさんだったら、bonnebien どちらをえらぶと思いますか?

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bon(ne)bien も、形容詞としてもまた副詞としてもつかうことができます。

付加形容詞として名詞を形容する場合、つまり「○○な ナンチャラカンチャラ(名詞)」というときにはほとんどの場合 bon(ne) がつかわれます。

C’est un bon cuisinier.
セッタンボンキュイズィニエ。
「これはすばらしい料理人だ。」

Bonne journée !!
ボンヌジュルネ!
「よい1日を!」

C’est un bien cuisinier. とか Bien journée !! などということはできませんね。

しかし、bien も付加形容詞として名詞を形容する場合がまれにあります。

その場合には、一般的に名詞の前におかれる bon(ne) とちがって、bien は名詞のあとにおいてあげます。そして、意味も「立派な、善良な」と限られてきます。

C’est un homme bien.
セッタンノムビャン。
「あれは立派な男だ。」

そのほかに名詞を形容できるのは

quelque chose de bien
ケルクショーズドゥビャン

quelqu’un de bien
ケルカンドゥビャン

「なにかいい(ところの)もの/ひと」と de を介しています。わたしと師匠の知る限りでは、これだけかな?

ちなみに、quelque chose de bon も存在します。
Quelque chose/quelqu’un de + 形容詞 で「なにか○○なもの/ひと」ということができるのです。

さて、本題にもどりましょう。

この bon(ne) が属詞になる場合、つまりは「○○は bon(ne) です。」というときはこの bon(ne)とくに食べるものに関してつかわれます。いくらかの例外、成句などをのぞいてはね。

つまり、

C’est bon.
セボン。

というのはだいたい、「それは美味しい。」というときなのです。

もちろん、例外はあります。

たとえば、同じ C’est bon. でも、「ああ、もうそれは済んだよ。もういいよ。」というふうにもつかわれます。

なにかが済んで、「これでよし。」というときや、「もうよろしい。」「それで結構。」というとき。
「いいのいいの、だいじょうぶ。」なんて感じでもつかうかな。

でも、「それはいいね♪」という意味にはなりません。

「それ、いいね!」「素敵だね!」といいたいときには

C’est bien !!
セビャン!

といってあげなければいけません。
もうちょっといえば、これもローテンションでいうと「ああ、そりゃよかったね。」と興味のなさを示してしまいますからいいかたにも気をつけて。

「キミのワンピース、素敵だね。」なんていいたければ

Elle est bien, ta robe.
エレビャン、タローブ。

Ta robe est bien.
タローブエビャン。

とはいえますが

Elle est bonne, ta robe.
Ta robe est bonne.

とはいえません。
思いあまってワンピースにかぶりついてしまったなら話は別です。

でも、さっきもお話ししたように、お料理に関しては

La choucroute est bonne.
ラシュークルートゥエボンヌ。

ということができるのです。

こんなふうに、上の引用、

la location est tellement bien
ラロカスィヨンエテルマンビャン

の部分は、

la location est tellement bonne

とはいいかえられないのです。

そのかわり、bon(ne) をつかいたいのなら付加形容詞にして、こういうことはできます。

C’est une bonne location.
セッテュユボンヌロカスィヨン。

こんなふうに、bon(ne)bien のような似た意味をもつことばをどんなときにどうえらぶか、は実際につかってみて感じとるしかありません。

文法でも、またネイティヴでも説明できない部分はフランス語にはたくさんありますから、ひとつの例文や成句でその用法が正しかったからといって、すべての場合にあてはまるわけではありません。

上の説明も、わたしが話しながら感覚でおぼえたものをちょっと分析してみて、書いています。ネイティヴの師匠にも、その理由が具体的にはっきりとは説明ができなかったのです。

日本語でも説明がつかないいいまわしや、長いことつかわれているあいだに婉曲されたりなまったりして、今ではもとの意味をもたないものなんかも多くありますよね。それと同じく、フランス人でも母国語をもう感覚として覚えてしまって説明ができないものが多くあります。

だからこちらも、理屈や人にもらった知識からだけでなく、彼らと同じように自分の感覚でもっておぼえるしかないのです。

覚えてますか?
C’est en forgeant qu’on devient forgeron.

たくさんたくさん、フランス語を話しましょう♪

それではまたね!
À bientôt !!